経営者の自己居住用ローン(以下、住宅ローン)について

 以前、私が都市銀行の支店勤務だったとき、会社を経営している経営者の住宅ローンの新規貸し付けや借り換えの融資相談を受けることがありました。

 創業後、一定期間を経過している経営者でも、住宅ローンの融資を受けることは、とても難易度が高いです。

 今回は、経営者が審査を受けるうえで確認されているポイントについて、簡単に説明していきます。

経営者が住宅ローンの審査を受ける際、確認されているポイント

 経営者は自身が経営する会社(法人)の直近3期間の決算書の内容を以って、銀行より判断されます。よって、創業まもない会社(3期間も決算をしていない会社)は審査の対象外となることがほとんどです。

 直近2期間、営業利益以下の経常利益や当期純利益が赤字だった場合は、金利優遇幅は大きく縮小されるか、もしくは金利優遇幅は無しになることがとても多いです。仮に、一時的な赤字の場合でも、その説明が求められます。これは、会社を経営していくうえで基本となる利益(儲け)がしっかりと会社に有るのかが、審査の目線だからです。

 また、経営者自身の資産背景を確定申告や他の金融機関の預金通帳等で確認を行います。

 かつて、「経営セーフティ共済」の解約、会社が保有する「不動産等の売却益」等にて、一時的に経常利益を黒字にする経営者もいました。しかしながら、銀行はそういった一時的な「益」は取り除き、審査をすると考えた方がいいです。

 経営する会社が黒字であること、正味資産(資産ー負債)が「マイナス」でないことは審査を受けるうえで意識した方がいいでしょう。

経営者が住宅ローンの審査を通す(通過する)には

 経営者は対面窓口がある銀行に相談することをお勧めします。

 経営者は会社員と違い、審査を受ける項目が多岐に渡るため、ネット銀行の審査は不利となることが多いです。その一方で、住信SBIネット銀行やイオン銀行は対面窓口がありますので、ネット銀行から相談するのが、いいかと思います。

 私の考えとして、①対面窓口のあるネット銀行→②信用金庫・信用組合→③地方銀行→④都市銀行(ゆうちょ銀行含む)の順で相談するのが良いかと考えます。

 経営者が住宅ローンの審査を通す難易度は高いと認識しつつ、対面窓口がある銀行へ相談をしてみましょう。

寄り道コラム

 対面窓口がある店舗型の銀行(信用金庫、都市銀行等)で、経営者自身の住宅ローンについて相談しているのに、なぜか、経営する会社に対する融資の相談に切り替わっていることがあります。

 多くが、信用保証協会付き融資の説明になっていることでしょう。

 これは、「経営者自身の住宅ローンの稟議を通す(通過する)のは難しいが、審査目線が比較的低い信用保証協会付き融資で会社へ融資する稟議を通して、実績にしよう」とする銀行員の考えがあります。

 このときは離席して、二度とその銀行へ足を運ばないことをお勧めします。

 経営者自身の借入金と自身が経営する会社の借入金は合計し、審査されますので、安易に会社で融資を受けてしまうと住宅ローンの審査を通す(通過する)難易度が更に上がります。

 対面窓口がある店舗型の銀行に相談する際は、併せて、投資信託等の金融商品の販売にも気を付けつつ、相談をしましょう。

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